映画『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』感想と考察 かつてのガンダムファンおすすめのポイントとは
中学生の頃、シャアやアムロの活躍に胸をときめかせて以来、しばらく『機動戦士ガンダム』シリーズからは、遠ざかっていた。
しかし映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の公開が発表されたとき、ブライト・ノアの息子がハサウェイなのだと知り、興味がわいた。
映画の公式ベージをみると、制作スタッフはもちろん、出演声優も豪華。内容も『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から12年後という設定。
それを知ると、いっそう胸が高鳴った。それでは観たい!と公開を心待ちにした。
わたしが久しぶりに向き合った『機動戦士ガンダム』の世界。これからその率直な感想、おすすめのポイントとキャラクターたちへの思いをお話したい。
※これから先は、ストーリーのネタバレも含んでいるので、注意して読んでいただきたい。
映像と音の美しさ
やはり、いちばん初めに感じたのは、音の良さ。とくに、空港やホテルのロビーを歩く靴音がリアル。まるでわたしも同じ場所にいるのでは?と錯覚するほど。
エレベーターなどの狭い場所と屋外など広い場所など。場所や状況による音の聞こえかた、声の響きかたの違いが感じられ、臨場感があり、心地がよかった。
もうひとつ、驚いたのは映像の表現美。例えばギギの髪の毛の揺らぎかた。宇宙空間を漂う機内では、フワフワとよりどころなく、たなびく感じ。まるで水中で揺らめく水草のよう。
地球でタラップを降りる直前の、風になびく髪の動きとはまったく違う!動きの対比がとても面白い。
あと、ギギの瞳の色もきれい。彼女に見つめられ、主人公たちと同様に、わたしもギギから目が離せなくなった。ミステリアスなギギのキャラクターともあいまって、本当に美しかった。
一方、市街地でのモビルスーツ同士の戦闘。夜景でひかり輝く街並みが、突然の襲撃で燃え上がる。重量のある機体が、重力のある地球で戦う迫力は凄まじい。
重たく、硬いものがぶつかり合うことで発生する衝撃が、爆音が、観ているこちらにもリアルに響いてくる。いつの間にか、戦いから逃れる人々の恐怖が、観ているわたしの恐怖になった。本当に怖かった。
3人の心理戦
ガンダムといえば、まずモビルスーツ同士の戦闘シーンが思い浮かぶ。しかしこの作品でメインになっているのは、つぎの3人の間で繰り広げられる、駆け引きだ。
ハサウェイ・ノア
……現在、植物監視官として訓練中。もうひとつの顔は、反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」である。父は、地球連邦軍指令のブライト・ノア。
ギギ・アンダルシア
……妖艶な雰囲気をもっているが、ときに天真爛漫に振る舞う謎多き少女。ハサウェイやケネスにつきまとう。
ケネス・スレッグ
……地球連邦軍の将校(大佐)。ダバオ空軍基地司令に就任。「マフティー」の討伐に動いている。
3人は、月と地球を往き来するシャトルの中で出会う。機内の乗客は、地球でおこなわれる会議に出席する、政府要人がほとんどだ。
どうやら、ハサウェイとケネスは自分の身分を知られたくない様子。だが、ギギはなぜだかふたりの正体を知っているようだ。どうして?
地球に降りてからも3人の関係はつづいていく。ギギのねらいはまったくわからないが、ハサウェイと行動をともにする一方で、ケネスとも接触をはかっている。
シャトルで出会ったときから、ハサウェイ も ケネスも ギギのことが気になっている様子。ギギはいつでも相手をまっすぐ見つめ、鋭い言葉を投げかける。
その言葉は的確だが、どこかつかみどころがない。だから、彼女の発言はいつもハサウェイやケネスを惑わせる。
しかし、さすがはふたりとも、組織の長。ギギの天真爛漫さに振り回されているようにみえるが、決して流されることはないのだ。
ギギははっきりと口には出さないが、ハサウェイが「マフティー」であることも知っている様子。ハサウェイは、ギギがそれをケネスに話すのではないかと恐れている。
ケネスもギギに目をやりながらも、サウェイが何かを隠していることに、気づいているようだ。
3人の関係は、一見和やかなものに見えるが、奥底に張り詰めたものを感じてしまう。静かに繰り広げられる3人の心理戦から、目が離せない。
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ハサウェイ・ノア
ハサウェイは、父であるブライトのようにまっすぐな心を持ち、母であるミライによく似た優しい瞳の青年。そんな彼が閣僚の命を奪う反逆者だなんて……。わたしはとても信じられない。
ギギを見つめるまなざしは、あんなに愛に満ちているのに。どう見ても、彼からは悪意を感じない。
こんなことをずっと続ける子にだとは思えない。彼は本当に、このまま突き進むのか?気になってしかたがない。彼には、どこか悲壮感があり、このまま目的が成就するとは到底思えない。ハサウェイの未来が心配だ。
だからこそわたしは、ハサウェイがどんな道を進むのか、最後まで見届けようと決めた。
ギギ・アンダルシア
ギギは美しく賢い少女。彼女のしぐさ、言葉づかい、そしてあの美しい瞳は、男性だけでなく、女性をも夢中にさせてしまう。わたしもギギの瞳に釘付けになったひとりだ。一方で彼女がふとしたときにみせる、少女らしいあどけなさも魅力的。このギャップに、わたしは心を射貫かれてしまった!
しかし、彼女の素性は誰も知らない。ギギの正体が気になってしかたがない。いったい何のために、ハサウェイやケネスに近づくの?
ギギの思いどおりに彼らが動くとは思わないけれど、今後、彼女がふたりに何かを仕掛けるのではないかと思ってしまう。
今後もギギを追い続けよう!きっと物語のカギを握る女性に違いない。
ケネス・スレッグ
ケネスは女性に対して、とても優しく接するが、それはうわべだけのもの。そうだとわかっていても、もし甘い言葉をかけられたら、わたしならふっと気を許してしまいそう…。彼はそんな雰囲気を持っている。
しかし本当の彼は、凶暴で残酷だ。軍では、激しい口調で部下を叱咤する。ときに、鞭(乗馬につかうもの)を振るうこともある。
捕らえた「マフティー」の一員、ガウマンに対する取り調べも、厳しい口調で容赦がない。彼を人質にして、ペーネロペーに乗せるやり方もなんだか卑怯だ。
「マフティー」をせん滅させるためなら、なんでもありといったところだろうか。なんだか”いいところなし”のケネス。でも、軍人としては、優秀なんだろうと思いたい。
これからのケネスの態度や行動が、ハサウェイやギギに、どのような影響をおよぼすのか。彼らにもたらされるのは、恩恵か絶望か?続編に期待したい。
まとめ
『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』は、主人公たちの関係をとても魅力的に、かつ丁寧に描いている作品だ。
ここに至るまでのストーリーや、これまでのガンダムシリーズを観たことがない人でも、十分”追いつけるよう”につくられていると思う。
ガンダムといえば、まずモビルスーツ同士の戦闘シーンが思い浮かぶ。しかしこの作品でメインになっているのは、ハサウェイ、ギギ、ケネスの間で繰り広げられる、駆け引きだ。静かに繰り広げられる心理戦から、目が離せない。
『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』は、
・Netflix
・バンダイチャンネル
・アマゾンPrime Video
・Hulu
・U-NEXT
など
各配信サービスでみることができる。