【考察】マンガ『MARS RED』3巻 見どころ3選!果たして気になる結末とは?
音楽朗読劇が原作で、テレビアニメにもなったマンガ『MARS RED』。マンガはこの3巻をもって完結します!しかしそのエンディングはアニメとは全く違うものになっています。
3巻冒頭からハラハラ、ドキドキの連続ですが、マンガを読み終わるころには、すがすがしい気持ちになること、間違いなしです!!
そんなマンガ『MARS RED』3巻の見どころを、音楽朗読劇、アニメ、マンガとすべて見てきた『MARS RED』ファンのわたしがご紹介します。
考察を交えてお話していていきますので、ご期待ください。結末までご紹介します。ネタバレが嫌なかたはご注意ください。
※2巻についての記事も書いています。よろしければこちらをご覧ください。
3巻冒頭のストーリー~第十一夜「クサヤ作戦」より~
中島は横浜の赤レンガ倉庫の近辺で、多くの外国人やヴァンパイアの目撃情報があることを零機関の面々に告げます。吉原で見つかった血清は、そこから持ち込まれた物に違いない。彼らはそう判断し、横浜へと向います。
深夜に赤レンガ倉庫を襲撃した零機関。タケウチ特製のスカンクボールで、みごと西洋のヴァンパイアを退治してしまいます。
そこに、突然デフロットがあらわれます。デフロットの本当の敵は“思考なきヴァンパイア”こと「金剛鉄兵」。それは今まさに野外で西洋のヴァンパイアを惨殺している部隊だったのです。
“思考なきヴァンパイア”は零機関も捜査対象としている相手でした。
零機関の面々は今まで自分たちが「金剛鉄兵」だと思っていたので、初めてこの部隊を見たのですが……。一体誰が率いているのでしょう?
結末に向けて知っておきたい3つのポイント
マグカン(マッグガーデン関西事業部)ツイッターより引用
① デフロットの過去と憂うつ
約600年前のフランス。デフロットはある女性によってヴァンパイアにされてしまいます。彼女の名はクロティルド。疫病で両親や弟を亡くし、孤独になったデフロットを助けたるために噛みついたのでした。
ふたりはいろいろなところを旅して暮らしました。デフロットはクロティルドに心から感謝していました。しかしクロティルドは、幼いデフロットをヴァンパイアにしてしまったことを後悔します。
そしてやがて血を飲まなくなり餓死してしまいました。今でもデフロットはクロティルドを姉と呼んで慕っています。
その後、永い年月をひとりで生きてきたデフロット。しかしいつの時代も争いを止めない人間の醜さに、嫌気がさしていました。
さらに近代化される世の中にも、心がついていかなくなってしまいました。
そんな時、シベリアや青島(チンタオ)で金剛鉄兵を目にし、ショックを受けます。デフロットは金剛鉄兵の残忍で美しくない戦い方や、近代化されたヴァンパイアの姿を見るのが嫌でした。そしてそれを作った人間に対する憎悪を、さらに強くするのでした。
金剛鉄兵を殲滅(せんめつ)する。それが日本にやってきた目的でした。
② 血清と金剛鉄兵計画
中島は西洋列強との戦いの中、戦場の最前線で多くの若者たちが命を散らしていくのを目の当たりにしてきました。
もう若者たちが目の前で命を落とすのを見たくない……。そう思った中島が提唱したのが「金剛鉄兵計画」。中島はヴァンパイアによる“不死身の部隊”を作ろうと計画を推し進めてきました。
しかし零機関設立から20年余り。軍の上層部は「金剛鉄兵計画」がいっこうに進まないことに苛立っていました。金剛鉄兵とはもちろん、零機関のヴァンパイアたち。しかし中島はその裏で密かにもうひとつの「金剛鉄兵計画」を進めていたのです。
中島はタケウチの研究データを無断で流用します。そして完成させたのが、Vウイルスが含まれた“あの”血清です。これを与えられたヴァンパイアは、凶暴な“思考なきヴァンパイア”となります。
最終的に中島は死者をヴァンパイアにする技術を完成させます。そしてSクラスのヴァンパイアを人工的につくり出すことにも成功するのでした。
一方、表向きには進展しない「金剛鉄兵計画」にしびれを切らした軍の上層部は、前田の入院を期に、零機関の解散を決定します。
それに対して中島は、“思考なきヴァンパイア”で編成した金剛鉄兵を率いて、赤レンガ倉庫を襲撃し「金剛鉄兵計画」の完成をアピールします。
しかし、金剛鉄兵は軍に受け入れてもらえませんでした。そこで中島は、軍に対してクーデターを起こすことを決意します。
③ 前田の願いと中島の決心
赤レンガ倉庫での作戦決行の日。病院を抜け出した前田を見つけたのは、中島でした。
前田は心臓の発作を起こしていて、動けなくなっていました。
前田は中島に「もっと貴方(あなた)のお役に立ちたかった」と言いのこし、息をひきとります。
かつて前田は戦場で中島に命を救われました。それから前田は中島を兄のように慕っています。軍の命令に逆らってまで自分を助けてくれた中島に、恩義を感じていたのです。
中島のためなら、自らの命を犠牲にすることもいとわない。前田はそのような思いで日々を過ごしていました。中島が推し進める「金剛鉄兵計画」の完成にむけて、病を押して零機関を牽引してきたのもそのためです。
道半ばでこの世を去ることは、さぞ心残りだったことでしょう。
中島は無念の死をとげた前田のことを惜しみます。そして前田に今後も活躍の場を与えようと心に決めます。それって……まさか、金剛鉄兵?“思考なきヴァンパイア”に……ということでしょうか?
確かに前田は中島に、命が尽きても、この身体を好きに使ってほしい。と伝えていました。
死してなお中島の恩に報いるために捧げられるものは、もうこの肉体だけ。そう思って言った言葉だったと思います。
決して、ヴァンパイアにしてほしいと願ったのではないと信じています。
結末を盛り上げる3つの見どころ
見どころ① 前田の涙と山上の決意
零機関の面々は本部に戻ったとき、偶然見たことのない扉を発見します。その扉を開け目にしたのは、おびただしい数の金剛鉄兵と、その指揮官、中島の姿でした。中島は密かに進めてきた「金剛鉄兵計画」の全容を彼らに打ち明けます。
その真意を聞き、山上は中島に異議を唱えます。ヴァンパイアになっても、人の心を失いたくないと思って戦ってきた山上。中島が人の心を失っていることが許せませんでした。
中島は反抗する山上たちに一体の金剛鉄兵を引き合わせます。それは血清によって生み出されたSクラスのヴァンパイアでした。中島はその正体が前田であることを皆に告げます。
動揺する零機関の面々!
容赦なく襲いかかる前田とその他の金剛鉄兵たち!!
その時突然大地震が起こります。関東大震災です。この地震によって建物は崩れ去り、ほとんどすべての金剛鉄兵は消滅してしまいます。
秀太郎、スワ、タケウチの3人は瓦礫(がれき)の下敷きになりましたが、なんとか無事でした。しかし、山上は依然、前田ともみ合っています。
士官学校から前田とは同期の山上は、前田が中島に対して抱く思いをよく知っていました。
一途で責任感の強い前田。そんな彼が思いを遂げられず、不甲斐ない思いで死んでいったことも簡単に想像ができました。
だからといって、死んでからもヴァンパイアになってまで戦いつづけることが、前田の望みとも思えませんでした。
また、自分が鍛え上げてきた零機関の面々と戦うことも、前田の本心ではなかったはずです。
山上は前田の気持ちに寄り添い語りかけます。すると、思考を無くしているはずの前田の目から涙があふれだしました。前田は山上の呼びかけに自我を取り戻していたのです。
このとき前田は何を思っていたのでしょうか……?山上にはそれが感じ取れたようです。
前田の気持ちに応えるため、山上が下した決断とは……?ここからはもう、涙なしでは読めません!
見どころ② デフロットの悲しみと葵の優しさ
当初、デフロットは自分と同じように金剛鉄兵について調べている葵に暗示をかけ、情報収集に利用していました。
金剛鉄兵に関する調査を終えたデフロットは葵の暗示を解き、同じように暗示でみずからの足跡(そくせき)も一部消し去ります。
しかし葵は、デフロットのことを探して会いに来ました。そこでデフロットは葵に自分がヴァンパイアであると告白します。そして栗栖秀太郎がヴァンパイアとして生きていることも伝えるのでした。
しかし葵はそれらを冷静に受け止めます。そして永い年月をひとりで生きてきたデフロットをなぐさめ、いたわるのでした。
大地震の時、デフロットは帝国劇場にいました。彼は役者で、ここが住処(すみか)だったのです。
デフロットはきっと残酷な現実を忘れるため、芝居をしていたのかもしれません。物語の中の美しい世界こそが、彼の理想郷だったのです。
大好きな劇場が燃え、崩れてく様子を眺めながら、デフロットはついに永い人生が終わるのだと覚悟を決めていました。
しかしそこへ葵がやってきます。デフロットは人間がヴァンパイアを助けに来るなんて、と言って驚きます。
みずからの危険を顧みず劇場に来てくれた葵。そのときデフロットは葵に姉、クロティルドの面影を見ていたのかもしれません。
そうしている間も劇場の崩壊は止まりません。葵は落下してきた瓦礫からデフロットをかばい、大けがを負ってしまいます。
それでもデフロットの身を心配する葵。やがて葵は気を失ってしまします。デフロットは耐えきれなくなり、超音波を使って秀太郎に救援を求めます。
葵の姿にクロティルドの最期の様子を重ね、動揺するデフロット。秀太郎は果たして間に合うのでしょうか?
見どころ③ 秀太郎の成長と葵との再会
秀太郎はデフロットからの超音波で葵の危機を知ります。葵を救いたいと焦る秀太郎。しかし陽が高い時間帯。建物が崩壊して、日陰もない野外に出ることは危険です。
秀太郎は「日焼け止めクリーム」を塗って救いに行くといいますが、クリームの効果は15分しかつづきません。
タケウチとスワはそれだけでは無理だと制止します。しかし秀太郎は自分の能力なら十分に往復できると言って聞きません。
そこでタケウチは、試作段階の「ダ・ヴィンチの翼」を勧めます。イチかバチか。秀太郎はこのふたつの発明品を使って白昼の大空へと飛び立ちます!
秀太郎は国内最高峰のヴァンパイア。でもはじめは、自分がヴァンパイアであることを受け入れられなかったはずです。
葵にヴァンパイアになって帰ってきたと言えずに、影から見守っていたのではなかったか……。いったい、いつからこんなにたくましくなったのでしょう?
前田は秀太郎のAクラスのヴァンパイアとしの能力を開花させようと、厳しく鍛えます。スワは秀太郎に、優しさだけでは人を救えないことを教えました。山上は精神面から、タケウチは発明品で秀太郎を支えます。
零機関の皆とともに戦っていたから、秀太郎は自分の能力を自覚し、ヴァンパイアであることに前向きになれたのです。
そして秀太郎は、本来持っている優しさとヴァンパイアとしての高い能力を持ち合わせることになりました。だから、多くのものを守れると自信をもって言えるようになったのです。
無事に帝国劇場に到着した秀太郎は、ついに葵と再会します。
この時の秀太郎の爽やかな笑顔が大好き!これまでの鬱屈とした世界観を、一気に晴れやなものに変えくれるからです。
この後のふたりの様子が気になりますね!ぜひ、あなた自身の目でご確認ください!
感想とまとめ
マンガ『MARS RED』は原作である朗読劇のストーリーに近いものになっています。各々がみな誰かを思い、誰かを助けたいと思って行動している姿に、最後まで心を動かされました。
唐々煙(からからけむり)の漫画のメリハリのある表現が、とても好きです。ダイナミックな戦闘シーン、繊細な心理描写。かっこよくて、美しくて。
とくにキャラクターの笑顔と泣き顔が印象的。読むたびに感動をもらっています。
葵を救いに行く秀太郎を見送る場面での、スワとタケウチの会話。秀太郎が葵を抱えて病院に向け飛び立つときの、デフロットのセリフ。何回読んでも胸が熱くなります。
ここでの秀太郎の自信に満ちた姿がとても素敵です。
ヴァンパイアにも明るい未来があることを予感させるこの場面は必見です。みんなの未来に幸あれ!と心から願わずにはいられません!!
マンガ『MARS RED』はアニメとは異なるエンディングが待っています。ここでしか出会えない素敵な景色をぜひ、ご堪能ください!