三国志の世界がテーマ!中国ドラマ「風起隴西(ふうきろうせい)」の魅力とは?

2025年9月からNHKBSで放送が始まった中国ドラマ「三国志外伝 愛と悲しみのスパイ ー風起隴西ー」。ほかのメディアでは「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」というタイトルで知られています。
わたしにとって三国志は、noteで連載を始めるほど注目してきたテーマであること。
さらに大好きな声優さんが吹き替えを担当すると聞き、わたしの興奮も最高潮に達しました!
諸葛亮(孔明)の魏への「北伐」から始まる「三国志」というのも新鮮だし、古代中国のスパイの話ってところも興味深い!
スリリングなストーリーと魅力的な俳優の演技に引き込まれる、没入感が心地よい作品です。
ここからは長年三国志を追いかけているわたしが、新感覚の三国志ストーリー、ドラマ「風起隴西」の魅力を3つご紹介します。
第1話から第3話までの内容を中心に、ネタバレありでお伝えします。NHKでの放送がすでに始まっているので、途中からでも見られるようにと考えました。どうぞご覧ください。
魅力その1 三国時代を舞台にしたフィクション
この物語の原作は、中国で大人気の小説家、馬伯庸(マー・ボーヨン)のデビュー作「風起隴西」。三国時代を舞台にしたフィクションです。
しかし、蜀の丞相、諸葛亮をはじめ、李厳、楊儀、李邈、馬岱、また魏の郭淮といった歴史上の人物を登場させているところが興味深い。主人公の陳恭(ちんきょう)など、架空の人物を歴史上の人物に絡ませているところが実におもしろいです。
例えば、陳恭の義兄弟で蜀の諜報機関(司聞曹=しぶんそう)の一員である荀詡(じゅんく)は、諸葛家に100年仕える密偵の家系という設定でびっくり!
なるほど。歴代の「三国志」の物語で孔明がいつでも余裕綽々なのは、敵側に密偵を送り込んでいたからなのか?!と、妙に納得してしまうから不思議です。
このように史実と虚構の境目がわからないくらい、きれいに混ざり合っているところが「風起隴西」1つ目の魅力です。
ちなみに※正史「三国志」の索引から調べると、「魏書」李通伝に陳恭の名があります。どうやら本当にいた人物のようですが、ドラマの中の陳恭とはまったく関係がないようです。原作者の馬伯庸がなぜ主人公の名を陳恭にしたのか?ちょっぴり気になりますね。
※正史「三国志」今鷹真・小南一郎・井波律子訳『世界古典文学全集24 三国志』全3巻(筑摩書房)1977年~1989年
魅力その2 蜀と魏のスパイが繰り広げる静かなる駆け引き!
この物語は諸葛亮による魏への「北伐」から始まります。「泣いて馬謖を斬る」の逸話として残る「街亭の戦い」敗北の原因は、蜀が魏に送り込んだスパイ「白帝(=はくてい)」が偽の情報を送ったから?というところからストーリーが展開していきます。
敵に寝返ったと疑いをかけられる「白帝」。魏に潜伏する「白帝」こと陳恭の殺害を命じられた荀詡は、魏に向かい陳恭と対面します。しかし陳恭からは密書がすり替えられたこと、そして魏からも蜀へもスパイ「燭龍(=しょくりゅう)」が送り込まれていることを聞かされるのでした。
じつは陳恭はスパイであることを見事に隠し、魏の天水で郡守からも信頼される立場にいました。
しかし、魏にも諜報機関「間軍司(=かんぐんし)」があり、陳恭はすでに間軍司から「白帝」であることを疑われています。魏からも蜀からも命を狙われる陳恭。しかし荀詡は陳恭が蜀の忠実なスパイであることを信じ、彼の力になることを選びます。
また蜀の内部でも諸葛亮と李厳の対立など、各部署での駆け引きも見どころ。興味が尽きません。
誰が味方で誰が敵か?
真実と嘘が交錯するスリリングな展開が、このドラマの2つ目の魅力です。
戦場ではなく、普段の生活の片隅で行われる”静かなる戦い”にドキドキが止まりません。
魅力その3 「三国志」を知らなくても大丈夫 俳優たちの見事な演技に注目!
これまでもお話したように、この物語は三国時代を舞台にした架空のお話です。この時代を描いた「三国志」の物語を知らなくても問題ありません。ストーリーを追いながら何となく分かっていけば大丈夫です。
それより注目してほしいのは出演俳優たちの演技。わたしの心を掴んで離さない、キャストたちの熱演が3つ目の魅力です。
ここではわたしが注目する3名をあげて、書いていきたいと思います。
まず1人目.。陳恭を演じるチェン・クンは「永遠の男神」とも言われている俳優です。陳恭はスパイですから、心を偽り淡々と任務に徹する。しかし、ちょっとした仕草や表情で本心をちらりと見せてくるところにグッときます。その表現力から目が離せません。
つぎに2人目、荀詡を演じるバイ・ユーは、日本でも人気の俳優です。荀詡は代々密偵を引き継ぐ家の生まれからか、忠誠心に厚く真っ直ぐな人柄が魅力!しかしその素直さが自らを追い詰めやしないか?とても気になります。今後の展開はもちろん、バイ・ユーの熱演にも注目です。
さいごの3人目。荀詡のいとこで、陳恭の妻である翟悦(てきえつ)を演じるスン・イーは、中国時代劇新女王としても注目されている俳優です。翟悦は、屈託のない笑顔と人懐っこい性格が魅力的。緊迫感漂う物語に安らぎを添える女性を、可愛らしく演じています。
極秘任務を担う陳恭も、翟悦の前では優しい笑顔をみせるところがなんとも切ない。
今後また3人で笑い会える日は来るのでしょうか?
これからもハラハラしながら見守りたいと思います。
さいごに
中国ドラマ「風起隴西(ふうきろうせい)」は、日本でもすでに他のメディアで放送済み。映像ソフト化もされている作品です。でもわたしは、このあともできるだけネタバレを避けて、最後まで楽しむつもりです。
NHKで字幕版と同時に放送されている日本語吹き替え版では、有名声優が物語の世界観そのままに演じています。専門的な言葉は、吹替版プラス日本語字幕で見るとより理解が深まると思います。
三国志に興味がある方はもちろん、スパイを題材にした作品に興味がある方にもおすすめです。
この記事を書くにあたっては、以下のサイトを参考にしました。
ドラマに関する詳しい情報も、こちらからご覧ください。
「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」公式サイト
また、わたしはnoteに三国志関連の記事も書いています。
よろしければ、以下のリンクからご覧ください。